『6才のボクが、大人になるまで。』(原題: Boyhood)
2014年のアメリカの映画。
妻がTSUTAYAで借りてきたので昨晩、一緒に鑑賞した。
全く何の予備知識もなく、タイトルすら知らずに鑑賞開始。
この映画がかなり特殊な撮影手法というか状況で作られていたと途中で妻から聞く。
撮影期間が12年!
主人公の少年が6才でスタートして、年間数日の撮影で12年に渡って撮影されたという。
タイトル通りに、少年が18歳で大学に入学するあたりまでのお話。
この特殊な事情はあらかじめ知っておいた方がいいかもしれない。
ドラマチックな展開があるわけでもなく、衝撃的なラストシーンも感動シーンもない・・・
特別でもない少年とその家族の12年の歩みが映し出されていく。
何が起きるかと期待してしまうのだが、何も起きない。
離婚やなんやかんやと子供が親に振り回されたり、どこにでもありそうなゴタゴタは起きるんだけど、それを引きずることもない。
何の説明もない。
あるエピソードが終わったと思うと、いきなり場面が何年後かに変わっている。
観ている方は、子供たちが背が伸びてたり、髪型が変ってたりして年が経ったんだと気づく。
その繰り返しなのだけど、その度に、今はどういう状況なんだ?と確認する作業をさせられる。
キャストはみんな同じなので、12年のうちには老けていったり、ひげが生えてきたりと時の流れを感じる。
物語とドキュメンタルの間のような不思議な感覚があった。
映画は2時間45分と長いが、飽きるということはなかった。
印象に残ったのは父親と子供たち(主人公と姉)とのシーン。
離婚して、母と暮らしているが何週間かに1度、父との面会がある。
父はアラスカに放浪の旅に出るとか、自由奔放ながらも、自分らしい生き方を追いかけている。
子供たちと会う時間は短いが、会っている時は全力で子供たちのことを知ろうと努め、自分の思いを精一杯伝えようとする。
一緒に暮らしていないけど、子供たちが父を見る視線はなんだか温かい。
僕は主人公というより、親の目線で見てしまうな、今は。
一番の修羅場。
母が再婚して2番目の父親は大学教授なんだけど、
アル中で、家族で食事中にいきなり子供たちを暴力で支配しようとするような人間に豹変してしまう。
激しく物語は展開していくんじゃないかと予想するも、母と子は車で逃げてあっさりこの父との生活はTHE END。
この強引さには思わず笑ってしまった。
まあ、母親も2回も離婚して失敗多い人生だけど、子育てしながら勉強して大学の講師になるパワフルな女性であり、
その時その時を精一杯生きている人。
観て良かったと思う。
ただ、何がどう良かったか、ぼやけてはっきりしない。
ガツーンとくるんじゃなくて、じわじわボディブローが効いてくるような感じ。
もしかして、この映画今までになかったスゲー映画じゃねえ?と思わされたけど、それもはっきりしない。
何を感じるのか観た人にゆだねられる映画だと思う。
「何この映画?長いだけで無駄だった」と思うひとがいても不思議ではない。
僕は今、この年齢で子供もいるから良かったと思うのかも。
全てが変わりゆく中、子供も成長していく。
家族で一緒にいられる時間も限られている。
かけがえのない今の瞬間、ちゃんと向き合っていこう。
そんな風なテーマかな。
この映画に影響を受け、
今年は息子二人と男3人でキャンプにでも行きたいと思った。